労働衛生に重要な3つの管理方法【快適職場づくりのヒント】
昨日、2019年(令和元年)の全国労働衛生週間についての記事を書きました。
【令和元年】2019年度の全国労働衛生週間・準備月間の概要
2019年10月1〜7日は、全国労働衛生週間の本週間となります。(準備月間は9月30日まで)皆様の職場や現場などの状態を都度監視を行い、健康で衛生的な職場環境を構築しましょう。ここでは、全国労動衛生習慣の概要について解説します。
そもそも、労働衛生とは何なのでしょうか。漠然と「こうじゃないかな?」というイメージは思い浮かんでいるかもしれませんね。
全国労働衛生週間を迎える前に、労働衛生とは何か、考えてみましょう。ここでは大きく3つの管理方法から、労働衛生を効果的にする内容を解説します。
この記事でわかること
- 労働衛生の3管理
- さらに踏み込んだ、労働衛生の5管理
労働衛生の3管理
労働衛生の3管理とは、
- 作業環境管理
- 作業管理
- 健康管理
の3つを指します。それぞれを、もっと具体的に解説していきます。
作業環境管理
作業環境管理とは、簡単に言うと「作業する環境を、労働者に対して有害とならないようにする管理」となります。例えば、金属の切断を行っているとすると、
切断屑(粉じん)が飛び散り舞い上がる
↓
粉塵が舞う環境は、目や口に入り、危険
↓
そうしないよう対策をし、環境を整える
などが、作業環境管理例となります。
上記のような粉じんに関わる作業以外では、
- 石綿を解体している環境
- 有機溶剤を塗布している環境
- 特定化学物質(特化物)や鉛を使用している環境
- 放射線を発生させている環境
などがあります。実情を知る方であれば、取り扱いを誤れば大変なことになってしまうと何となく察することができるかと。
では、こういう危険な環境を変えるにはどうすれば良いのか、考えてみましょう。
作業環境管理の改善
- 危険物質を完全に隔離する(別の部屋へ移し、立入できないよう施錠する)
- 危険物質から作業員を可能な限り遠ざける(危険箇所を囲う等)
- 危険物資を長時間取り扱わせない
- 危険物質の保管方法を見直す(堅牢かつ適正な容器を使用等)
例として、上記の通り挙げてみました。まずは皆さんの職場の危険箇所を洗い出してみましょう。その後、その危険箇所を環境を整えることで安全できるかどうか、検討してみて下さい。
極力、危険の芽が摘み取られるよう、真剣に考えてみて下さいね。
作業管理
作業管理とは、簡単に言うと「作業員が危険物質と直接触れることのないよう管理する」となります。例えば、有機溶剤を取り扱っているとして、
素手・保護具なしで溶剤を容器から別の容器に移し替える
↓
勢い余って溶剤が大量に出てしまい、手元に溢れたり目に飛び跳ねてくる
↓
手や目に触れたり入ったりして、アウト
↓
そうしないよう保護具を準備し、着用させる
などが作業管理となります。
上記のような有機溶剤に関わる作業以外では、
- 石綿を解体せざるを得ない作業員
- 粉塵が舞う環境で働かざるを得ない作業員
- 騒音がひどい環境で働かざるを得ない作業員
などがあります。実情を知る方であれば、この内容についても取り扱いを誤れば大変なことになってしまうと、お分かりいただけるかと。
では、こういう危険な環境で作業する作業員に対して、労働衛生の観点からどうすれば良いのか、考えてみましょう。
作業管理の改善
- 手足で触れる可能性がある場合は、手袋等を用いて直接接触を防止する。
- 口から体内に入る可能性がある場合は、マスクや空気呼吸器を使用する。
- 目に入る可能性がある場合は、保護メガネを着用する。
- 耳を痛める恐れがある場合、イヤーマフや耳栓をする。
- 体に付着する恐れがある場合、白衣や保護服を着用する。
- 適正な作業時間、休憩時間を設けて暴露可能性の時間を下げる。
- 作業方法を見直し、機械等を用いて人体が負うリスクを低減する。
例として、上記の通り挙げてみました。作業員の皆さんに極力負担がかからない配慮はとても重要です。「ちょっとくらい」と言う手抜きは許されません。自分が「ちょっとくらい大丈夫でしょ?」と言われたらどう言う気分になりますか?
健康管理
健康管理とは、簡単に言うと「公私問わず心身に負担・無理がかかる生活をしないようにしよう」となります。流石にプライベートのこと全部を管理する必要はありませんが、せめて職場で健康を損なうことのないよう配慮が必要です。
わかりきったことですが、下記のような取り組みを心掛けましょう。
健康管理の改善
- 毎日の健康状態の確認
- 職場全員、健康診断を受診する
- アルコール飲料の飲み過ぎ防止の励行
- ストレスチェックの実施
良好な健康状態はすべての基礎となります。心身ともに良好な状態であるからこそ、業務のパフォーマンスも高まることでしょう。
自己管理という言葉で片付けるものではありません。職場のフォローも必要です。
さらに踏み込んだ、労働衛生の5管理
上記までに紹介した作業環境管理・作業管理・健康管理の他に、もう2つを足して労働衛生の5管理と呼ばれることもあります。
3管理と比較すると実務と直接関わるものではないため、個別に紹介します。
労働衛生教育
これまでの3管理のような内容がなぜ必要なのか、どうすれば良いのか等を教育にて知識の向上を目指すことです。「なぜ・どうして」を理解しながら労働衛生管理をする・されると、職場全体が納得のいく取組みができるでしょう。
総括管理
労働衛生対策を効果的に進めるためには、会社外の力も必要です。例えば産業医等の労働衛生専門スタッフと連携を取る必要があります。もちろん産業医だけではなく、職場に関わる様々な人たちとの連携を含め、総括管理と呼ぶことがあります。
労働衛生を向上して、快適職場づくりをしよう
これまでに紹介した例をもとに、今一度職場環境を見直し、職場の労働衛生を向上させましょう。
労働衛生が良くなると、
- 働きやすいと気分良く仕事ができる
- 危険がないと安心して仕事ができる。
- 働きやすく安心できると、心身負担が少なく、パフォーマンスが上がる
- 働きやすく安心できると、社員が会社に愛情を持つ
など、いいことづくめです。
事業の発展には、実務だけではなく、こういった労働衛生の観点からも考えさせられる点は多々あると思います。
これからもより良い環境を目指し、働きがいのある職場を作りましょう。