厚生労働省改革若手チームの働き方改革の提案から伝わるブラック感
2019年4月より働き方改革が発動しました。
私自身会社勤めなので、その影響は仕事を通して良くも悪くも現れていると実感しています。
自社の働き方改革についてはなんとなく現状がわかりますが、それでは他社はどうでしょうか。
例えば厚生労働省
2019年8月26日、「厚生労働省改革若手チーム」による、【厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言(概要)】が発表されました。
ざっと確認しましたが、その内容が悲壮感漂いすぎている内容となっております。「働き方改革」を促進する省ですが、実態はある意味民間企業よりも酷いかも…
ということで、ここでは厚生労働省の実態(2019年8月現在)を紹介するとともに、皆様にとっても働き方改革とは何かを考えるための情報として、ここに記載します。
この記事でわかること
- 「厚生労働省改革若手チーム」による、厚生労働省の組織改革の提案内容
- 時代錯誤はなはだしい悪習が、働き方改革を阻止する件について
「厚生労働省改革若手チーム」による、厚生労働省の働き方改革の提案内容
私がこの資料の存在に気がついたのは、イケダハヤトさんのYouTubeチャンネルからでした。
参考動画:【ブラック国家】東大を出て人生終了……厚労省では絶対に働いてはいけない。(イケハヤ大学)
この資料の内容を、わかりやすく解説しています。ぜひ一度、ご覧ください。
なお、資料に関するリンクは下記の通り。イケハヤさんの動画が衝撃的だったので、すぐに自分でもアクセスしました。
2019年8月31日現在は一つの資料しかありませんが、専用ページがあるということは今後、追加資料がアップされるかもしれませんね。そういう意味でも要チェックです。
資料内容による一部の職員・元職員からの声(改革の出発点)
さて、内容を確認してみると、冒頭からとんでも無いことが書かれています。
厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったと ずっと思っている。(大臣官房、係長級職員)
ブラックですね。最初のページの最初の文章から、心えぐられます。
この最初のページは悲壮感が漂いすぎているため、ぜひ引用紹介させていただきます。
一応、下記の通り、文字に起こします。
家族を犠牲にすれば、仕事はできる。(社会・援護局、補佐級職員)
仕事自体は興味深いものが多いと思いますが、このような時間外・深夜労働が当たり前の職場環境では、なかなか、一生この仕事で頑張ろうと思うことはできないと思います。(労働基準局、係員)
毎日いつ辞めようかと考えている。 毎日終電を超えていた日は、毎日死にたいと思った。(保険局、係長級職員)
残業することが美学(残業していないのは暇な人)という認識があり、定時に帰りづらい。 一生懸命業務時間内に業務を行っても、出来ない人の業務を押し付けられる。(労働基準局、係員)
今後、家族の中での役割や責任が増えていく中で、帰宅時間が予測できない、そもそも毎日の帰宅時間が遅い、業務量を自分でコントロールできない、将来の多忙度が予測できないという働き方は、体力や精神的にも継続することはできないと判断した。(退職者)
子どもがいる女性職員が時短職員なのに毎日残業をしていたり深夜にテレワーク等をして苦労している姿をみて、 自分は同じように働けないと思った。(退職者)
これは…ブラックを通り越した、暗黒か?もはや、狂っているレベルと言っても過言ではないかと。(ブラック以上のブラックさを表現する言葉に乏しく、申し訳ございません。)
業務が忙しく多忙なのはわかるとしても、「死にたい」と思わせる環境はやばいです。これをブラックと言わず、何をブラックと言うのでしょうか…。
このような環境で、業務のやる気や組織の改革をしようという意識が生まれるはずがありません。
さらに、資料内容を確認してみましょう。
資料内容からわかる若手職員の職場環境
厚生労働省の若手職員(20〜30代)が、厚生労働省で働くことにどう考えているか?と言う回答結果として、資料にはこう記載されています。
- やりがいのある職場と思う:49%
- 仕事に誇りが持てると思う:34%
- 心身に悪影響を与えると思う:58%
- 職員を大事にしない職場と思う:45%
- やめたいと思うことがある:41%
その他にも質問はありますが、抜粋して記載しました。ネガティブな意見に票が集まっていることがよくわかります。
さらに、業務量については、
- 非常に多い:18%
- 多い:47%
合計して65%が業務量が多いと感じているとのこと。その原因は様々書かれていますが、大きく2点、厚生労働省の人員不足と他律的業務と回答されています。
この結果から見えてくる内容として、まとめると、
上記の通りかと。民間も含め、組織や会社の未来なんてどうなるかわからないものですが、若手(20〜30代)が良い職場だと感じない組織や会社に、未来はないと言えるのではないでしょうか。
現在の若手が、未来の会社を作ります。あと5年・10年働けば定年退職となる人は、言ってしまえば「いなくなる人」です。
組織や会社の未来のために投資するべきものは何か、考えてみてほしいものです。
その他の職場環境における課題
資料によると、厚生労働省の現状・課題としては、
- 圧倒的な人員不足
- 組織全体のマネジメント意識の低さ
- 組織ガバナンス機能の低さ
- 伝統的キャリア像の固定化
- 組織全体の人材育成意識の低さ
- 劣悪なオフィス環境
などが挙げられていました。なお、この内容については厚生労働省だけのものではないと判断し、それぞれをさらに細かく確認していきたいと思います。
圧倒的な人員不足
人員体制が不十分により、一人あたりの業務量負荷が限界となっている。
マネジメント意識の低さ
管理職は、知識技術は評価されるがマネジメント能力については軽視されがち。
組織ガバナンス機能の低さ
厚生労働省内の約20の職種それぞれに定位員が固定されており、業務量に応じた柔軟な人事配置ができていない。
伝統的キャリア像の固定化
昼夜休日問わず働く職員が評価される組織文化であり、キャリアルートは年功制で職種で固定化される。
組織全体の人材育成意識の低さ
自分の能力についてのフィードバックがなく、キャリアイメージを描きづらい。また、組織での役割や貢献度が不明瞭。
劣悪なオフィス環境
「暑い・狭い・暗い・汚い」職場環境である。
上記の通り、課題内容と、それについて個人的な解釈も補足させていただきました。ご覧になられるとわかりますが、程度の差はあれど、どこの職場でも悩みの種となっているものではないでしょうか?
つまり、働き方の改革というのは、労働時間や休日の取得といったものをどうにかするよりもまず先に、上記のような職場内の悩みを改革するよう指導する必要があるのではないでしょうか?
時代錯誤はなはだしい悪習が働き方改革を阻止する件について
2019年現在、時代に見合う最低限の労働環境というものはあると考えています。例えば、
- 個の尊重と、犠牲の撲滅(いじめやハラスメント、業務量の偏りの撲滅)
- オフィス環境の快適化(温度、照度、スペースの確保)
- PCおよびタブレット、スマートフォンの使用許可
- 最新ソフトの導入(特にチャット等コミュニケーションツール)
上記の通り。こんなの今更言わなくても…と思いますが、厚生労働省をはじめで来ていない組織・会社があるのが現状。
まず、人に高圧的に接する・侮辱する、性差別などといった人として愚かな行為にて組織を形成することはどの時代も最低の行為と考えます。
次にオフィス環境ですが、照明や温度のコントロールと適切な距離感(座席の距離など)は生産性に直結する環境要素であり、まず最初に整える必要があるものです。
そして今やPCやタブレット、ソフトウェアやアプリケーションといったツールが生産性に直結しています。厚生労働省のように、一部業務での使用禁止やWordやExcelレベルでフリーズするスペックのPC支給なんかしている場合ではありません。
簡易な依頼や確認事項などはチャットツールで済まし、無駄なメールや会議は排除していくべき。
悪習がもたらすデメリット
生産性が落ち、最悪その組織や会社は消えて無くなります。
それにメスを入れることはとても面倒なこと。だから、「現状維持」されてここまで来たのだと考えます。
ある人は「最低限、現状維持はしている」と考えるかもしれませんが、時代はどんどん変化しています。外の世界を見ると、相対的に、生産性は落ちている可能性が高いでしょう。
そして社員・職員のモチベーションは上がらず、働きがいがないと見切られた組織から人は離れていきます。そうすれば、維持することは難しく、破綻する未来しかありません。
ブラックに染まる前に行動しよう
現在ブラックではない組織・会社も、時代に取り残されれば相対的にブラック認定される可能性は大いにあります。
「若者は会社への愛着や恩がない」と、時たま高齢者がおっしゃりますが、ぶっちゃけ無理ですね。ですが、全くないわけではないと考えます。
所属している会社で自分が輝ける場を、考え、探している人は多数います。高齢者の中には、古臭い価値観で、若者の未来を潰している可能性は少なからずあります。
そういうブラックの悪循環が出来上がる前に、改善するものは直ちに行動し直していく必要があると思いますが、いかがでしょうか?
ブラックに変わる前に、できることは何か。今回の厚生労働省改革若手チームの働き方改革の提案から伝わるブラック感を教訓に、自分自身の生き生きとした時間を取り戻すことを考える必要があるかもしれません。
人生を、生き方を、アップデートしていきましょう。