建設現場の問題点を摘み取り、快適にしよう【監督・職長向け】

現場猫「建設現場で働くと体も辛いが精神もやられる。なんだかこの現場、好きになれないんだよなあ…」

監督員「現場は進んでいるけれど、なんかしっくりこない。何か見落としているところや、できることはないかな」
様々な建設現場に入所して働くと、それぞれの立場で上記のような悩みに直面することもあるでしょう。
それには様々な原因がありますが、例えば、
- 現場監督は、口では立派なことを言うが、行動や態度が最悪
- 職人が、現場監督の言うことを聞かない
- 現場が汚いけれど、みんな見て見ぬふり
など、何かこう、ギクシャクしている現場は割と多いのではないでしょうか。
単刀直入に、私の考えを申しますと、そのような建設現場は「技術面も安全品質面も非常りリスキーな現場かも…」といった感想です。
ここでは、現場の環境を整える方法について解説するとともに、こじれる前に「問題点を摘み取り、快適な職場に戻す方法」についてアドバイスします。
本記事が、建設現場をより快適に、働きがいのある職場にしてもらえたら幸いです。
目次
- 建設現場がなぜうまく回らなくなるのかを考える
- 建設現場の環境改善【問題点を摘み取り快適職場へ】
建設現場がなぜうまく回らなくなるのかを考える【快適とは言えない職場】
「快適な建設現場」のためには、まずはその逆の「どうして快適とならないのか」を考えてみて、それを防止することが大事です。
建設現場で不快と感じる理由
建設現場に限らず、職場環境は必ずと言っていいほど「人間関係」に難があります。
人間関係において、建設現場では、下記のように考察します。
建設業界の重層下請構造が原因
- 元請会社が最も強く、最下層の下請会社が弱い
- 「上の会社の命令は絶対」という風潮がある
建設業界の体質として、どうしても仕方ない部分があるのですが、建設現場では「各々の職務に全力を注ぎ、良いものを建設する」ことが第一の使命です。
その使命に関係なく、元請けが下請けをいじめたり(たちの悪いことに、当人にはいじめている自覚がないことが多い)
、下請が指示を無視して元請を困らせたりすることは非常にナンセンスではないでしょうか。
ただし、知識も技術もなく、口だけ達者な人はNGです。
現場は遊び場ではないので、技術者としてお互い尊重し会えるよう、自らの役職を誠実に遂行することが重要と考えます。
建設現場の作業環境に起因する問題
建設現場は昔から3K職場(3K=きつい・汚い・危険)というレッテルを貼られていますが、令和となった現代でも払拭できていない印象です。
作業時間の制約・無理な注文
建設の流れとして、どうしても「前の工程が終わらないとできない」といったこともあるでしょう。
また、締め切りに間に合わせるために無理な要望をしたり受け入れたりすることもあるでしょう。
1回くらいなら許されるかもしれませんが、そのようなことが当たり前のように頻発しているのであれば、問題ありです。
ここまでのまとめ
例えば、大きく3つをピックアップしました。
もう一度まとめると、
- 人間関係
- 職場環境
- 作業時間
この3つですね。
先ほどの3点を整えると、快適な職場に繋がりそうな気がしてきませんか?
わかっていても、疎かにされている現状
先ほどの問題点、改善することはそうそう難しくありません。
ですが、ほとんどの建設現場では、疎かにされています。
- 工事・実務が忙しい。
- そんなことに時間を使っている場合ではない。
例えば、上記のような気持ちで現場を運営いませんか?
ここは職長や現場監督の腕の見せ所だったりします。
ここができるかどうかで、監督と職長がお互いに認め合えるどうかが大きく決まると私は考えます。
会社の看板を背負っている自覚を持とう
監督も職長も、それぞれが会社の代表として、建設現場に入所しています。
個人と個人で感情的に対応するのではなく、「会社と会社の関係を築く」ことが何よりも重要です。
ここで注意なのは「監督だから、許される」なんて考えはNGです。
きっとですが、下請さんたちは「現場監督・所長・職長・元請会社」などの肩書きがあるから負けてあげているだけです。
人として尊敬されているかどうかは、別問題です。
ここを履き違えない要注意です。
そんな悲しいことにならないよう、監督や職長がしっかりと現場を切り盛りし、適度に緊張感がある現場づくりをするべきでしょう。
建設現場の環境改善【問題点を摘み取り快適職場へ】
問題点がある程度絞れたところで、先ほど挙げた問題点を改善していくための方法を考えてみましょう。
人間関係を改善して快適職場にする
建設現場での人間関係の大半は、上下関係に起因します。
- 重層下請構造による、上下関係
- 先輩後輩、上司部下の、上下関係
- 男女格差
上記の通り。
重層下請による関係は前述の通りですが、現場ではそれだけではありませんね。
そういう人は、放置していても治らないばかりか、下手をすると謎にドヤってくるので要注意です。
そこをスルーしたり無視していたら、一向に現場環境は良くなりませんね。監督や職長を筆頭に、そのような人を指導する必要があります。
なお指導は、みんなの前では絶対やらないことが重要です。
個室で、1対1で落ち着いて話ができる環境を整え、そこで指導しましょう。
ただし、人格を否定する指導はNG
指導は問題点に気づかせ、改善を促すために行うものです。
- あんたの心が醜いから、差別するんだ
- 人を見下すようなことをするのは、人として終わっている
などは「行き過ぎた指導」のため、絶対NGです。
反論や仕返しが怖くて指導はできませんが、かといって行き過ぎた指導はNGです。
など、やんわりとしつつも、ダメなものはダメということが、重要ではないでしょうか。
シメる時はしっかりシメるからこその、信頼が生まれると私は考えます。
作業環境を改善して快適職場にする
「きつい・汚い・危険」の排除を第一に考えましょう。
- 現場や休憩所、トイレの整理整頓、清掃
- 通勤車両の洗車(室内含む)
- 工具や安全装備品の点検と不良品の取り替え
環境の改善を大きく始める前に、まずは上記のような簡単かつ効果的なところから始めてみることをお勧めします。
きれいなトイレは、非常に落ち着きますし、無意識のうちに衛生に対する配慮の心が生まれます。
トイレという汚れやすい場所が常に綺麗で清潔であると、不思議とその他の場所もきれいにしようという気持ちになります。
リースなどで現場に到着した日から毎日やるので、到着時とほぼ変わらない状態が日々キープされています。
毎日の掃除すれば汚れも少なく楽ですしオススメなので、是非トライしてみて下さい。
作業時間を改善して快適職場にする
作業時間の組立てや配分は、監督や職長が主体となり管理していく必要があります。
- 日々、常に工程を確認する
- 変更発生時は、関係者全者で情報共有する
- 人員配置について、監督・職長とよく打ち合わせる
これらを徹底するだけでも、無茶な作業時間は激減すると考えます。
ぶっちゃけですが、現場作業時間が増えるといいことがありません。
- 作業員は、帰れない
- 作業員は、休めない
- 監督員も、帰れず休めない
- 経営者は、従業員に、時間外賃金を支払う
- 現場稼働が長引けば、現場で災害が起こる可能性も増える
例えば上記の通り。
今の時代、現場で長々と作業することが美徳とされてはいません。
建設現場でも、仕事と家庭の両立ができる人が評価される時代です。
建設業でも、ちゃんと帰れて休みがあるという環境を作れる人が、これからの未来には必要だと考えます。
監督や職長が、工程や作業のタイムスケジュールをしっかり管理し、「工程の遅れなく、無理なく、舵取りする」ことが重要ではないでしょうか。
現場のみんなは、監督・職長を見ています
これまでに何度か書きましたが、現場の職人さんや若手スタッフなどは、現場監督や職長の統率力や実行力、周りへの気配りの仕方など、かなりみています。
職人さんをはじめ、それぞれの力が一致団結してこそ、快適な建設現場が生まれます。
なお、「快適」のメリットはすごいですよ。
現場に来てもらう人たちに「快適だな」と思える職場こそが、監督や職長の仕事といってもいいかもしれません。
そう思ってもらえるよう、今一度、ご自身がどのような働き方で現場を統率しているのかを振り返ってみて下さい。
トップが率先して行動しよう
なお、これまでの改善は「面倒だから、若いものにやらせる」のではなく、監督や職長自らが率先して実行していくことが大事です。
監督や職長が率先して動く人であると認識されれば、現場での信頼度はうなぎ登りだと私は考えます。
職人さんや下請さんも、人間です。
口だけの人より、面倒ごとにも嫌な顔せず率先して行動する人の方が、信頼に値すると判断するでしょう。
なめられないために高圧的な態度になってしまう人もいるかもしれませんが、高圧的であることと、シメるべきところでシメることは別物です。
建設現場を快適にしよう
本記事で、監督・職長向けに建設現場を快適にする方法を解説しました。
「もうすでにわかっていること」だとおっしゃる方もいるでしょうが、意外と実現できていないのではないでしょうか。
自らが現場の模範となるような管理・振る舞いを心がけましょう。
また、将来やがて職長や監督になるという方も、やがては自分もそうなるという目線で現場を快適にする方法絵を考えてみて下さい。
本記事がそのヒントとなれば幸いです。