Shoji

【令和元年】全国労働衛生週間の準備月間にできること【2019年】

安全

2019年もついに9月、残り4ヶ月程で今年も終わってしまいますね。ついこの間、夏が来たと騒いでいたはずですが…。時間の流れの早さに驚かされます。

さて、建設業の皆様をはじめ、各業界の皆様は夏季の熱中症対策には頭を悩ませていたのではないでしょうか?そんな季節ももうすぐ終わり、次のイベントに向けて、少し考えてみる時間も必要かもしれません。

9月〜10月の大きなイベントとしては、「全国労働衛生週間」が挙げられます。

※以前、概要を記事にまとめましたので、合わせてご確認ください。

9月1日から30日は、全国労働衛生週間の準備月間です。(本期間:10月1日から7日)

各職場、ポスターやたれ幕など準備を始めているところも多いことでしょう。ですが、全国労働衛生週間とは何か、そもそも準備月間とは何なのかを、具体的に把握している方は少ないかもしれませんね。

ここでは、全国労働衛生週間(準備月間を含む)で何をすればよいか、どうすれば効果的な期間となるかを解説していきます。

この記事の内容

  • 全国労働衛生週間の趣旨と労働者の実態
  • 課題から見える全国労働衛生週間の効果的な取組み

全国労働衛生週間の趣旨と労働者の実態

家の中で働く人

まずは、主唱する中央労働災害防止協会(中災防)さまのページを確認してみましょう。概要をまとめた専用ページがあるので、その内容を確認してみたいと思います。

» 全国労働衛生週間実施要綱(中災防)

リンク先の内容を、こちらにもまとめます。

全国労働衛生週間の趣旨

全国労働衛生週間は、「国民の労働衛生に関する意識を高揚させ、事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保」を目的とし、今年で70回目を迎える活動です。

労働者の健康に関する実態

  • 毎年受診する健康診断における有所見率:5割超
  • 過重労働によって労働者の尊い命や健康が損なわれている。
    (脳・心臓疾患、精神疾患、未遂含む自殺)
  • 仕事に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている:全体の半数以上
  • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合:58.4%
  • ストレスチェックの実施と結果に基づく改善を実施する議場場の割合:51.7%
  • 仕事上の不安、悩み・ストレスを相談できる相手がいない:3割

などにより、労働者にとって快適な職場環境とは言えないのが実情です。(※各データは、平成29年労働安全衛生調査(実態調査)に基づく)

割合的に半数近くの事業所において、あまり良いとは言えない環境となっていることがわかりますね。

高齢化する社会と労働者の健康の両立

社会的に、高齢化は大きな問題となっております。年金支給年齢も引き上げされ、「一億総活躍社会」と謳われる現在は60〜70代の労働者も珍しくはありません。

中には、病気を抱えた方もいらっしゃるでしょう。そのような方が治療と仕事の両立をすることは現在および今後の課題となることでしょう。

働く人の状態を考慮し、人員の適正配置が望まれますね。また、通院の必要時には交代要員の確保なども考える必要があります。

化学物質から身を守ることの強化

化学物質に起因する労働災害も発生しており、法定の化学物質を取り扱う事業所において、

  • リスクアセスメントの実施率:52.8%
  • GHSラベル表示率:77.3%
  • SDS交付の実施率:69.1%

となっています。(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」より)

化学物質による健康被害は遅発性疾病(発がんなど)のものもあり、現在は解明されていなくとも将来的に重篤な健康障害を引き起こす可能性となるものもあるかもしれません。極力、注意喚起を強化し、直接接触しないようにすることが重要です。

石綿(アスベスト)による健康被害の増加

過去の石綿ばく露により石綿関連疾患を発症したとして労災支給決定された件数は、近年、1,000件前後で推移しており、そのうち特に建設業では500件を超えています。

石綿の製造・使用等が禁止される前に石綿含有建材を用いて建設された建築物が今なお多数現存しています。その解体工事のピークは2030年頃と予想されています。

増加が見込まれる中、解体・改修前に義務づけられている石綿の有無に関する事前調査や石綿の発散防止措置が適切に行われていない事例が散見されているとのこと。

石綿取扱い業務は役所等のチェックがあるはずなのですが…。作業時に保護具を身につけていなかったりするのでしょうか?

受動喫煙の実態

安衛法の一部改正により、職場における受動喫煙対策が、努力義務とされています。また、望まない受動喫煙を防止するための改正健康増進法が成立され、施行されます(2020年4月1日より、全面施行)

  • このような状況下、受動喫煙を受けていると回答した労働者割合:37.3%

とのこと。(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」)

職場と労働者の労働衛生向上を目指して

これまでの通り、労働衛生環境の課題について、この概要だけでも浮き彫りになりましたね。つまりは、大筋はこの課題対策を考えてみるとともに、併せて自分の職場特有の課題を解決していくのが効果的な方法と考えます。

では、次からはその対応策について具体的に考えてみましょう。

課題から見える全国労働衛生週間の効果的な取組み

チームワークを組み立てる人達

まず最初に、課題の論点を改めてまとめてみます。

  • 労働者の健康診断所見率の減少
  • ストレスチェックの実施と対応の実施
  • 高齢者に対する配慮
  • 化学物質の適正な取扱い
  • 石綿被害の撲滅
  • 受動喫煙の予防

次に、それぞれどのように対応すれば良いかを提案します。

労働者の健康診断所見率の減少

ここは本人の努力が必要な場所でもありますが…。例えば、飲酒量の減少や健康定期な食生活の推奨周知をしてみたり、睡眠時間の確保を周知してみたり、とりあえず組織として個人に対してできることはあると思います。

健康に関する内容については、意外と気にする人はい多いですよ。

ストレスチェックの実施と対応の実施

ストレスチェックは「常時50人以上の労働者を使用する事業場」が対象です。ですが、50人未満の事業場でも努力義務とされています。

ストレスチェックの結果は、事業場の改善指標となるため、出来るだけ利用した方が良いと考えます。ですが、大事なのは、その結果から何をするかでしょう。

改善すべき点が洗い出されるため、改善の方針はわかるかと思います。あとは、やるかやらないかだけです。

なお、ストレスチェックの結果、個人に重度のストレスが見られるとの結果が出た場合、カウンセリング受信などのフォローを抜かりなく実施しましょう。

高齢者に対する配慮

高齢者をこき使う人、たまにいますよね。ですがよく考えてください。

あなたもいずれ、高齢者になりますよ。

因果応報、高齢者をないがしろにする職場は、いずれその職場に自分自身もないがしろにされる恐れがあります。それに、職場の空気、悪くなる一方ですよ。

まずは高齢者の心身の負担となりすぎないよう、適正な人員配置が必要ですね。併せて組織全体の人員配置計画や、労務管理の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

高齢者によらず、例えば誰と組むかでパフォーマンスが向上(低下)したりします。効率上昇=心身負担も緩和されます。

化学物質の適正な取り扱い

課題でもあった通り、化学物質リスクアセスメントの実施、GHSラベルの表示、SDS交付の実施は確実に押さえておきたいところ。

もしご自身の職場で化学物質を取り扱うことがあるのであれば、保管箇所、使用方法、保護具着用の取り決め、使用期間・保管期間の確認を全体で再度打合せしてみるのも良いことと考えます。

石綿被害の撲滅

石綿作業を継続的に実施する事業場は多くはないと考えますが、それを生業としている業者がいるのは事実です。書類の届出方法から始まり、取扱作業の施工手順や保護具、使用道具の確認、養生方法など、確認するべき点は多々あります。

役所による作業前のチェックもありますので、各種手続きを滞りなく行うためにどうすれば良いか、考え直すいい機会かもしれません。

受動喫煙の予防

非喫煙者の中には、受動喫煙を忌み嫌うものが少なくありません。また、口では喫煙者の容認をしている人でも内心嫌がっている人はいると思います。

このご時世、やはり分煙は大事ですね。組織的にも喫煙者の肩身が狭くなる方へ向かっていますね…。

究極は、この機会に禁煙を成功させることですが…難しいですね。

喫煙する人、しない人が一緒に働く職場では、お互いの立場を認め、共存するやり方を模索する必要があります。

自分の職場の労働衛生環境について

上記までの通り、労働衛生向上のヒントとなる内容を提案させていただきました。

あなたの職場にすべてが当てはまるのならば素晴らしいことですが、そういうわけでもないでしょう。

これまでの内容をヒントに、あなたの職場独自の解決策を、この「全国労働衛生週間の準備月間」で考えてみましょう。

職場の労働衛生環境の向上のため、できることを考えてみませんか?お互い、良い職場づくりを進めていきましょう。