1級土木施工管理技士の施工経験記述の攻略【採点者が認める書き方】
1級土木施工管理技士の実地試験において、必ず記述することになっている「施工経験記述」について、具体的な攻略方法をここで解説します。
この施工経験記述をクリアできれば、ほぼ合格といっても過言ではありません。
なお、1級土木施工管理技士の実地試験については、当ブログで別記事にしておりますので、参考にして下さい。
【令和元年】1級土木施工管理技士の実地試験と対策【2019年】
令和元年(2019年)10月は、1級土木施工管理技士の実地試験が行われます。今年、学科試験を合格した方や、昨年、残念ながら不合格となり再チャレンジする方も、まずは試験問題の傾向をしっかり頭に入れる必要があります。ここでは実地試験の構成や内容を再確認するとともに、試験対策について解説します。
【注意】ここでは施工経験記述内容として、出題頻度がとても多い「安全管理・品質管理・工程管理」の3つに限って解説します。毎年この3つのうちどれかが当てはまるため、ひとまずはこの3つを覚えておけばOKだと思います
それでは早速、解説していきます。
この記事の内容
- 【はじめに】読みやすい文章の基本
- 1級土木施工管理技士の施工経験記述内容の確認
- 施工経験記述における共通の設問の確認
- 施工経験記述【安全管理】:労働者の安全が最優先
- 施工経験記述【品質管理】:品質を損なわないための対策
- 施工経験記述【工程管理】:工程調整・工程短縮
- 最終手段:通信教育を用いた施工体験記述の代行サービス
【はじめに】読みやすい文章の基本
まずは基本的な文章の書き方についてです。いきなり文章の基本を解説するのは、どんなに素晴らしい経験や考えを持っていても、文章の基本がなっていないと筆者の知性が伝わらないからです。
1級土木施工管理技士としてこれから資格を取ろうとしている人が、あやしい日本語を使っていたら「この人大丈夫だろうか…?と採点者に不安を抱かれてしまう可能性大ですね。
私が採点者なら、控えめに言って信頼ゼロですね。
そう思われないよう、最初に文章の基本は念頭に置いておいてください
大事な点は、下記の通り。
- 読みやすく、誤字のないよう努める(漢字間違いなど)
- 語尾の統一(ですます口調はNG)
- 5W1H(いつ・どこで・なぜ・誰が・何が・どのように)の意識付け
- 句読点の使い方と長文の回避
- 難しい言葉は知らなくてOK
それぞれについて、簡単に解説します。
文章における字の汚さ、誤字の残念さ
せっかく素晴らしい文章を書き上げたとしても、書かれた文字が汚すぎて読めなかったり、漢字間違いしてたりするのはとても残念です。また、いわゆる「ら抜き言葉」も誤字の一部としてここではカウントしたいと思います。
友達に宛てた手紙であれば、文字が汚く、誤字が1個2個あっても笑って許してくれるかもしれませんが、今回の想定は試験解答なので、最悪は減点となるかもしれません。
書き上げたら良く見直して、最低限他人が読める字であることと、誤字がないことは確認しましょう。
語尾の統一を心がける
例えば統一されていない例としては、下記の通り。
例えば、前半は「行いました」と丁寧語になっているので、後半は「役に立ちました」と統一するのが正しいですね。
ですが施工経験記述は要注意です。「ました」「です」「ます」などの語尾は極力避けましょう。新聞をはじめ、技術文章や参考書、教科書などは「ですます」なんて使いませんよね
つまりは、下記の通り、ちょっとお堅い感じに書けばOKです。
- 1級土木施工管理技士の施工経験記述対策を行った。合格できたので、この記事は役に立った。
ですます口調がなくなるだけで、お堅い文章としては良い感じになりました。
5W1H(いつ・どこで・なぜ・誰が・何が・どのように)の意識付け
「経験記述」にあたり、ここは特に重要です。なぜなら、
- いつ :着工時、掘削時、コンクリート打設時 など
- どこで:会社で、現場で、自宅で など
- なぜ :客先要望のため、仕事のミスが発覚したため など
- 誰が ;私が、お客様が、協力会社が など
- 何が :コンクリートが、仮設資材が、安全対策品が など
- どのように:機械を使用して、人力作業で、直営で、外注で など
上記の通り、ここを充実させると文章の具体性が増すため積極的に入れ込みましょう。ですが全ての文章に5W1H常に書く必要はありません。くどくなります。文章全体で、この5W1Hを組み合わせて良い文章を書きましょう。
私が考えた案は却下された。
利益を上げるために工期短縮を検討した時、私が考えた案は現場で実施するには大変であると、上長から却下された
文章を比較すると、雲泥の差ですね。
句読点の使い方と長文の回避
文章を区切るため、いわゆる読点(、)をつけますね。頭で思いついたことを書いていると気など、ついつい読点ばっかりになって句点(。)を書くのをおろそかにしていませんか?
また、読点を細かく付けすぎていませんか?あまりに区切りすぎたり、句点を付けずに長文になりすぎると、とても読みにくいです。
今日は、とても良い天気で気分が良いので、隣の町まで歩いて出かけたら、友達に出会って、そのまま流れで一緒にご飯を食べて、充実した1日を送れた。
今日は、とても良い天気で、気分が良いので、隣の町まで、歩いて出かけたら、友達に、出会って、そのまま、流れで一緒に、ご飯を食べて、充実した1日を、送れた。
今日はとても良い天気で、気分が良く隣の町まで歩いて出かけた。そうしたら友達に出会い、そのまま流れで一緒にご飯を食べることにした。充実した1日を送れた。
どれが一番すっきりしていますか?あなたが良いと思う文章づくりを参考にしてみて下さい
【朗報】難しい言葉は知らなくてOKです
難しい言葉とは、例えば「温故知新」などの四字熟語や、小学校で習うことのなかった漢字などです。
大事なことは、あなたが知っている言葉を「読みやすくつかいこなすこと」の1点だけです。あなたの言葉で、各テーマに合った文章を書くのみです。
ここまで基本を確認しましたので、それでは次からは試験問題の対策に移りましょう。
施工経験記述における共通の設問の確認
冒頭でも書きましたが、施工経験記述では、「安全管理・品質管理・工程管理」のいずれかが出題されます。
これは過去10年分変わらないため、今後も変わらない可能性が高いです(※可能性がゼロとは限りません。)
安全管理・品質管理・工程管理の3択はどれが出るかわかりませんが、変わらない物もあります。それは以下の通り。
に記述しなさい。
⑴ 具体的な現場状況と特に留意した技術的課題
⑵ 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
⑶ 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価
上記の(1)〜(3)については、変わらず出題されています。つまり、安全・品質・工程の3つについて、その内容を書けるようになれば合格の可能性はとても高まります。それでは、上記内容について細かく見ていきましょう。
具体的な現場状況
ご自身が取り上げる工事現場についての説明を求められています。ここで大事なのが、文章に具体性を持たせるということです。例えば先刻記載した5W1Hを取り入れたり、数値で表せることは数値化したり(例:高さ10m、長さ10m など)することが重要です。もしあなたがこれから書こうとしている内容が天候に左右されるようなものであれば、天気や季節などを盛り込むのも効果的でしょう。
あなたが書いた文章を読むのは、あなた自身と採点者のみです。あなた自身は作文の内容を少ない情報でも頭の中でイメージできますが、採点者は違います。採点者の気持ちになり、読んだ者がどのような現場なのか想定できる具体性を持たせましょう。
特に留意した技術的課題
注意して欲しいのは、ここで検討結果や解決策を書かないことです。「留意した点」ということで、あなたを悩ませる原因となったものを書きましょう。
技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
ここで検討項目、内容、理由を書きます。検討の結果は書きません。あわてて書きすぎたり、不足したりしないよう注意して下さい。
上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価
ここで結果を書きます。具体的に何をしたのか、どうしたのかを書きます。評価については、基本的に「うまくいった」「良かった」評価を書くと良いでしょう。悪い評価となったものは書かない方が良いと思います。
以上のような内容を踏まえ、安全管理・品質管理・工程管理についてさらに見ていきましょう。
施工経験記述【安全管理】:労働者の安全が最優先
安全管理で大事なことは1つだけ、労働者が安全に作業できるために、何をしたかを書くだけです。
施工管理上、安全管理には毎日とても気を遣っていることと想定します。試験ではその内容を書けば良いだけなので、安全管理が出題された場合は比較的簡単と考えます。
難しいと感じる方は、「労働者が安全に作業できる」の逆を考えてみましょう。つまり、「安全に作業できない」のはどんな時でしょうか?
そして、自分の現場にどんな「労働災害の型」があったのか、思い浮かべてみましょう。そして、解消するために何をしてきたか、思い返して下さい。例えば、
- 掘削開口部の付近で仕事をする人が、開口部へ転落しないよう仮設柵を設けた
- 掘削床が深く、人が出入りするために、昇降器具を設けた
上記のとおり。「安全を確保するために、安全対策品を用いて物理的な対策を行っている」という点は説得力が増しますし、おすすめです。さらに、それらが上手く機能しているかどうか、「毎日点検して管理した」と付け加えれば最強です。
もっと追加点を狙うためには、危険箇所や安全対策品の具体性を数値化できると良いですね。
- 深さ3mの掘削開口部の付近で仕事をする人が、開口部へ転落しないよう高さ1.8mの仮設柵を設けた
- 掘削床が3mと深く、人が出入りするために、3m分の昇降器具を設けた
上記の通りです。より現場の風景が具体的になりましたね。
安全のためのミーティングやリスクアセスメントなんかも安全管理としては重要なことですが、現場のイメージを採点者に想像させるという点においてやや説得性に欠けるかも知れません。現場内の状況を想像でき、その危険の芽を摘み取るようなものが良いと思います。
施工経験記述【品質管理】:品質を損なわないための対策
土木工事の品質といえば、例えばコンクリートが挙げられます。例えば、以下の内容が品質に左右されるものと考えられるでしょう。
- コンクリート打設時の天気、気候、温度
- コンクリートの養生期間
- コンクリートの打込前の試験(スランプ等)
- コンクリート強度試験
- コンクリート型枠取り外し時の構造物損傷
上記の通りです。
土木工事において、天候や気候は品質に直結する場面が多く、書きやすいと思います。大雨で掘削作業はできませんし、鋼管杭の溶接もできません。無理に行うと安全もそうですが品質にも響きます。そういう状況の場合は、品質を確保するために良好な天候となる日まで順延したり、仮設を設けて天候に左右されない環境を構築したことと思います。その内容を書けばOKかと。
ここでも数値を用いて内容に具体性を持たせると最高です。
- コンクリート打設時の気温が0℃であったため、凍結しないよう養生マットを採用した
など。あなたの現場にもひとつくらい、天候に品質が左右されるものがあるかと思います。
もし天候に左右される物がないのであれば、あなたが行った品質検査の方法や器具、品質確保に対する教育内容などを思い返し文章化してみましょう。
施工経験記述【工程管理】:工程調整・工程短縮
工程管理で書きやすい点としては、何らかの努力によって工程を短縮したことかと考えます。例えば、
- コンクリート二次製品を用いて、現場打ちコンクリートの工期を短縮
など。例に出した二次製品の使用は、圧倒的に工期短縮になります。また、現場の天候にも左右されないため、実は品質管理的な要素もあります。
そしてやはりここでも数値を用いた具体性を意識しましょう。例えば、
- 幅1m長さ1mのボックスカルバート(コンクリート2次製品)を7m分用いたことで、現場工期が7日短縮された。
など。二次製品を用いた場合、そうではないときと比較してコスト的に合理性があるなどを書ければ最高ですね。
他には工程調整なども管理的な要素として認められます。同一現場に自社のみならず様々な会社が稼働している場合、工程調整は色々苦労されている都想定します。その時あなたが行った内容で効果的であった物は、工程管理として記載しても良いでしょう。
最終手段:通信教育を用いた施工体験記述の代行サービス
必修問題の施工体験記述については、どうしても文章の得意・不得意が影響してしまいます。書くことに自信がない方は、通信講座を使用するのも一つの手です。
少ない時間の中、最大に効率を上げるには、やはりノウハウを知ったものの下で学ぶことかと考えます。
参考に、このようなサイトがありますので、紹介いたします。
このサービスを導入すると、実は必須問題である施工体験記述の悩みから解放されます。「実務に基づく施工体験記述」の代行サービスが存在するからです。あなたの経験をプロが聞き取り、あなたの経験に合った作文が作成されます。あとは、それを覚えればいいだけ。
確実な成果を求めるのであれば、このようなプロを頼るのも手だと考えます。文章を書く練習をしようと言いましたが、ぶっちゃけこのサービスで苦労せず合格への道がぐんと近づきます。
何回も不合格になりそうで不安…という自信のない方は、勉強時間とお金を何年も使い込むよりは、このような便利なサービスを利用した方が、試験費用もそうですが時間を有効に使えて良いことだと思います。試験日は1年間に1回しかなく、学科試験合格の有効期限は、合格した年を含め、2年しかありません。
勿論、選択問題の内容も、しっかりサポートしてくれます。宜しければ、ご検討ください。
1級土木施工管理技士 実地試験はあっという間にやってきます。
2019年10月の試験日は、あっという間にやってきます。まだ勉強時間があると思ってさぼっていると、後で痛い目に合うかもしれません。
できることを、できるうちから、早めに着手していきましょう。
実地試験、合格することを願っています。
参考記事
その他の1級土木施工管理技士の試験についても、記事にしております。
併せてご確認下さい。
1級土木施工管理技士の受験のすべて【申し込みから合格まで】
「1級土木施工管理技術検定試験」の受験において、より効率よく勉強を進めたり、要点をまとめ有益となる情報を提供できるよう、記事にしました。申し込みから合格までをすべて解説しています。学科試験も実地試験も、施工経験記述問題も、何も怖くありません。1級土木施工管理技士の受験と合格を目指す、すべての方へ本記事を捧げます。