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【首里城の謎】細切れ延長コードの謎を考察する【延長コードに延長コードを足すリスク】

建設

以前、首里城の件に関して、このブログで取り上げました。

上の関連記事は、「分電盤」についてですが、今回気になったのは「延長コード」です。

Twitterのリンク先記事を読むと分かるのですが、延長コードが30本程度に細切れになっているとのこと。

今回はこのことから、首里城火災の謎を考察するとともに、我々の日常の電気の取り扱いについて危険と思われる行為の防止と再発防止について、解説します。

本記事の内容

  • 首里城の延長コードが細切れになっていた原因考察
  • 延長コード単体の品質【PSEマークの確認】
  • 延長コードに延長コードを足すリスク

首里城の延長コードが細切れになっていた原因考察

壁の配線

今回の条件でもわからないことが多いですが、延長コードに起因するものだとしたら、私は以下のように推測します。

  • 延長コードに延長コードを継ぎ足すような使い方で過負荷となり、発火した。
  • 延長コードに延長コードを継ぎ足すような使い方で連結点が弱点となり、発火した。
  • 延長コード自体の性能がよくなかった(初期から不良・経年劣化)

大きく3点です。その理由を、以下に述べます。

過負荷が原因の理由

先に挙げた記事で紹介した分電盤ですが、本来、分電盤には火災に至るような電気事故発生時には自動的に電気を遮断する装置が備わっています。

それがうまく働かなかった原因が一番謎ですが、それはひとまず置いておきましょう。

そのような火災に繋がる電気が発生する原因の一つに、延長コードに大量の電気を要するものをたくさん接続していたからというのはあり得る話です。

例えば冬ですので、家の延長コードに照明・コタツ・ストーブ・テレビ・ゲーム機・パソコンと、1箇所から際限なく電気を供給しているとどうなるでしょうか。

本来は家のブレーカーが落ちて家は真っ暗になりますが、首里城はブレーカーが落ちず発火に至ってしまったため、自宅も発火・火災となる可能性大ですね。

どのような電気回路を構築していたかは不明ですが、過負荷で火災はあり得る話です。

連結点が弱点となり事故となったとした理由

「連結点」はどうしても電気を通すための金属同士の露出が発生してしまうポイントです。

その微小な隙間に、長年積み重なった埃や湿気が何らかの引き金で電気と反応し火災が起きる可能性は少なくありません。

なおこの現象は「トラッキング」といい、電気火災の代表的な原因として広く知られています。

首里城では接続点があったのかは不明ですが、細切れとのことで、金属露出+湿気+埃の接続点が燃焼しやすく部分的に燃えやすいところと燃えにくいところが残ったのかとも考えました。

なお、プロが設計する電気工事では、極力連結したいもの同士の中間に連結点は設けないように、始まりから終わりまで1本の電線ケーブルを張ることが原則です。

どうしても設けなくてはいけない場合は、分電盤などの「密閉された箱や容器を用いて、かつ防湿防水対策をする」といった対策を行いますが、知識のない人であれば接続して「はい終わり」となるのではないでしょうか。

最悪、雨水にさらされる屋外に雑に配置されて終わりというパターンもあるかもしれませんね。

延長コード自体の性能がよくないとする理由

電気設備の施工年が不明ですが、古い設備の場合、設備が錆びて腐っていたり、ずさんな施工であったりすることが多いです。

市販されている延長コードを使用していた場合はPSEマーク(後述します)があるかなど、保証された器具であることは知りたいところですね。

自作の場合は、許容電流などの条件から電線・器具選定が正しくされていたのかも気になるところです。

考察を教訓にしよう

以上のような考察を、大きく3点から述べました。

これが合っているか合っていないか、考察しましたがそれはもうどうでも良いことです。

答えを当ててドヤ顔したいわけではありませんし、間違っている可能性もありますので。

ですが、このように「こんな事故想定があるな」と、リスクの洗い出しを行い、少なくとも考察した範囲では同様の事故が起きないよう、自らも注意して予防に努める必要があると考えています。

それは仕事だけではなく、自宅でもできることです。

自宅でできる範囲で、今回の考察を教訓に、見直しておくべきところをこれより下記にて解説します。

延長コード単体の品質【PSEマークの確認】

タップに接続

延長コードと聞いて一番最初に思い浮かべるのは、以下のようなものではないでしょうか。

コンセントに差し込み、一般家庭なら1〜3m程度延長可能で、さらにコンセント差込口が3〜5個程度ついているようなものを、誰しも1つくらいはお持ちかと思います。

とても便利で、欠かせないツールであることは間違いありませんが、使い方を誤れば「事故・災害の元」となります。

なぜ「事故・災害」が起きるのか、ここではその品質を軸に解説します。

延長コードの品質

そもそも延長コードとは「電気を配る」器具です。

実は、電気を配るということは、危険を伴います。

電気は見えず、触れない(厳密には、触ると感電する)ため、危険であるという意識がどうしても低くなりがちです。

よく漫画やアニメでは、以下のような表現で感電を表現していますね。

感電する人

ちょっと大げさですが、感電すると骨まで痺れるような感覚になることもあります(筆者経験済み)

延長コードは痺れないよう絶縁されているのですが、品質が悪いとこの絶縁性能に欠陥が起きやすかったり、満足した性能を得られなかったりします。

絶縁とは、簡単にいうと「人体が感電したり、他設備に電気が流れ込まないよう、電気を断絶すること」です

電気用品安全法

電気用品安全法というものをご存知でしょうか。電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律であり、約450品目の電気用品を対象としています。詳しくは割愛しますが、延長コードも、この電気用品安全法の対象となっております。

家の延長コードを見てみると、PSEと書かれたマークがありますね。

ちょっと見づらくてすみません。左上の方に、PSEというマークをご確認できましたか?

これは、電気用品安全法に準じて品質が保証されたものに対して与えられるマークです。PSEを囲う図形はひし形もあれば、丸もあります。

その詳細は記事論旨のちょっと外なので、ここでは割愛します。

つまり、このマークが正しくつけられているものを、使用する必要があります。

購入したものについては、正しく付いていることを確認しましょう。

延長コードについては、参考記事をどうぞ

延長コードなどの配線器具の自作について

たまに自作する方もいらっしゃいますね。
基本的には自作して使用することに関しては素人でも可能ですが、「電気をどれだけ使うか」を想定して、電線や材料の選定ができるスキルは最低限必要です。

基本的に、電線が太くなるほどたくさんの電気を取り扱うことが可能ですが、電線=銅のため、銅重量が増えるほどに高価になります。

かといって、ケチって細い電線をしようすると「電気を送るために電線に負担をかける」という現象が起きてしまいます。

この負担というのが電気機器にとって「熱」という形であり、電気機器や人間に対しての危険信号となります。

  • 熱を持つと、電線や機器が故障する。最悪、燃える
  • 熱を持つと、人体にやけどを与える。

例えばスマホ充電器など、コンセントに挿し使用していると充電器が熱くなったりしますよね。

この現象のように、電気を送ると熱が発生するのは避けられません。

※どうしてそのようになるかはここでは割愛します。詳しくは下記を参考にしてください。

自作を疑うわけではありませんが、正しい知識をもち、正しく施工しないと、品質を損ない事故の元となる可能性は十分にあり得ます。

自作される場合は、十分に注意してください。

少額でPSEマークがついているものもあるため、一般家庭で使用する分であれば買った方が良いと私は思います。

延長コードに延長コードを足すリスク

コンセントに刺そうとしているところ

目的の場所に届かない時など、延長コードに延長コードを足し続けることはたまにあるでしょう。

ですがそれは、あまり良いことではありません。その理由を解説します。

接続点は弱点であるという認識のなさ

コンセントの差込口を見てください。凹んで溝になっていますね。

ここに、コンセントの凸側を差し込むことで連結されるのですが、冷静に考えて見てください。

  • 凹側:暗くて見えないけれど、機器の内部に直結する溝であり、金属部である
  • 凸側:金属部が露出している

絶縁された延長コードのうち、唯一電気を通す金属部が露出されているのが、連結点であるコンセントの凹凸部となります。

延長コードを差込み連結した後、通電すればその延長コードって用事がなければ長期間(年単位)ずっと触らなかったりしますよね。

そうすると、埃がたまったり、水が侵入したりすることに気付きません。

先ほど、電気は通電すると熱を持つと解説しましたが、熱+埃で火災が起こる可能性は十分にあります。

先述しましたが、このような現象をトラッキングといいます。トラッキングによる事故は多く注意喚起も頻繁にされていますが、未だに撲滅できていません。

また、水は内部に侵入し、内部機器を錆びさせたりしまいます。錆びて脆くなった回路は予期せぬ電気の事故を引き起こす可能性があります。

また、本来は通電しない場所に水が入り込むことでつなぎ合わせてしまったり、先ほどの埃と混ざって反応し、対象の電気が流れ火災が起こる可能性は十分にあります。(不純物が混ざった水は電気を通す。水道水も)

このように、連結点はどうしても弱点となってしまいます。

定期的に延長コードの点検や清掃を行い、必要に応じて取り替えましょう。

簡単な心がけで、安全は確保可能です

これまでをまとめると、下記の通りです。

  • 電気用品安全法による「PSEマーク」がついた延長コードを使用する。
  • 延長コードはたまに点検清掃を行う。
  • 延長コードは定期的に買い替えを行い、劣化による性能低下を防止する。

どれも簡単すぎて忘れがちですが、このような気遣いこそが、安全な電気器具の使用方法の根底となるものです。

ご自身の家庭で、絶縁被覆が向けて中身が露出している延長コード、充電ケーブルなどありませんか?

感電リスクもありますが、下手をすると何かと反応して火災が起きる可能性もあるため、十分注意してくださいね。

せめて自宅だけでも安心安全な環境を維持できるよう、皆さんもたまには電気器具を見直しつつ生活してみてはいかがでしょうか。