【令和元年】建設工事追い込み期の労働災害防止運動【北海道労働局】
建設工事の労働災害の死傷労働災害は、例年追い込み期(10月〜12月)に多発傾向にあり、その割合はおよそ3割程度となっています。
北海道労働局(厚生労働省)では、この事実を重く受け止め、各建設工事会社及び現場に対し、「建設工事追い込み期の労働災害防止運動」を展開しています。
今年ももうすぐ10月を迎えるにあたり、この運動がどのようなものなのかを見ておきましょう。
これは北海道労働局における活動ですが、他都府県の方にも参考となる活動だと思いますので、様々な方に一読いただければ幸いです。
この記事でわかること
- 建設工事追い込み期の労働災害防止運動の概要
- 建設工事追い込み期の労働災害防止運動の重点項目
建設工事追い込み期の労働災害防止運動の概要
建設工事の追い込み期に、労働災害が増加しやすい傾向であるということはご理解いただけたかと思います。
この運動は、この期間(10〜12月)に、労働災害を少しでも減らそうという思いから、安全について今一度見直してもらいたいという思いから、開催されています。
追い込み期とは
なお、追い込み期とは、工事の繁忙期を含め、年末年始への休工に向けての「少々無理をしてでも、今年中にやる(休日出勤、休みなし、長時間労働など)」という意気込みが形になったものではないかと考えています。
無理をすれば、どうしても怪我のリスクは高まります。
北海道の10〜12月は、もう冬です。
そして北海道のこの季節といえば、雪が降ったり、積もったりしてもおかしくない季節です。
このような中で安全に配慮しつつ働くということは、夏季にはない辛いものがあったりします(夏季は熱中症など、それはそれで危険な要因がありますが、ここでは割愛します)
このような観点からも、より安全に配慮した現場運営が肝心ですね。
建設工事追い込み期の労働災害防止運動の重点項目・取組内容
建設工事追い込み期の労働災害防止運動には、取り組みの重点項目が設けられています。その内容は、
- 墜落・転落災害防止対策
- 重機災害等防止対策(車両系建設機械、移動式クレーン)
- 崩壊・倒壊災害防止対策(土砂崩壊、仮設物等の倒壊)
- 交通労働災害防止対策
- 急性中毒災害防止対策(一酸化炭素、有機溶剤、酸欠・硫化水素)
- 火災災害防止対策
上記6点の通り。
それぞれ簡単に、どのような取り組みをすれば良いか、考えてみましょう。
墜落・転落災害防止対策
例えば、下記の通り。
対策例
- 開口部の養生、危険箇所の表示
- 作業床の設置、手すり及び中さん等の設置
- ⼿すり先⾏⼯法等の「より安全な措置」の採⽤
- 作業主任者の選任、職務の励⾏
- 防網の設置、要求性能墜落制⽌用器具の取付設備の設置
- 要求性能墜落制⽌用器具の導入促進
要求性能墜落制⽌用器具とはフルハーネス型の墜落制止用器具のことです。今は腰につける安全帯が使用できますが、時期にフルハーネス型へ移行する必要があります。この辺りも、勉強しておく必要がありますね。
重機災害等防止対策
例えば、以下の通り。
対策例
- ⾞両系建設機械
・作業計画の作成 (種類及び能⼒、作業方法など)
・⽴⼊禁⽌区域の明確化
・誘導者の配置による転落・接触防⽌
・主たる用途以外の使用制限 - 移動式クレーン
・作業計画の作成(作業方法、転倒防止、労働者 の配置など)
・過負荷の制限
・アウトリガーの最大張出
・適正な玉掛用具の使用
・安全装置の有効使用
どれも当たり前のことですが、作業の都度忘れず計画しているでしょうか?
安全もですが、スムーズな作業とするためにもしっかり計画しましょう。
崩壊・倒壊災害防止対策
例えば、以下の通り。
対策例
- 土砂崩壊
・安定勾配の確保又は土止支保工の設置
・作業開始前の地山の点検
・作業主任者の選任、職務の励⾏
・作業手順に基づく安全作業
・現場責任者による巡視・点検の励⾏ - 構築物・仮設物等の倒壊
・作業計画の作成
・作業⼿順の確⽴
・避難場所の確保
・作業構台・足場の最大積載荷重の表示と周知
こちらも必ずやらなくてはいけないことですが、もう一度振り返り、対策をしっかり行いましょう。
交通労働災害防止対策
例えば、以下の通り。
対策例
- 路⾯状況にあった安全な速度での⾛⾏
- ⼯事現場における第三者⾞両からの被害防⽌
・第三者⾞両への「⼯事中」注意喚起標識の設置
・交通誘導者の配置
・バリゲートの設置 - 交通労働災害防止のためのガイドラインの遵守
- 交通ヒヤリマップを作成し、安全運転教育に活用
- 運転者の運転業務以外の業務の軽減
- 過労運転の防止
- 停⾞時における逸⾛防⽌のため「輪⽌め」及び「サイドブレーキ等」の確実な措置
最近、交通事故だけではなく「あおり運転」も問題になっています。
されるだけではなく、することのないよう気をつけて下さい。
もちろん、交通ルールも守りましょう。
急性中毒災害防止対策
対策例
- 一酸化炭素
・屋内での内燃機関の使用禁止
・やむを得ず屋内で内燃機関及び練炭コンロ等 を使用する場合
-随時測定、監視(作業開始前、作業中等)
-リスクアセスメントの実施 - 有機溶剤
・換気装置の使用
・送気マスク、防毒マスクの使用
・作業主任者の選任、職務の励⾏
・SDS(安全データーシート)を活用し、リスクアセスメントの実施 - 酸⽋・硫化⽔素
・作業開始前の酸素濃度及び硫化⽔素濃度の測定
・作業場所の酸素濃度を18%以上、硫化⽔素濃度を10ppm 以下へ
・作業主任者の選任、職務の励⾏
・安全衛生教育の実施
中毒も怖いですが、酸欠となってしまうことも危険です。正しい管理方式で危険を防止して下さい。
火災災害防止対策
例えば、以下の通り。
対策例
- 火災の取扱い管理の徹底
- 易燃性のものの近傍での火気の使用禁止
工事現場では火の元がいたるところにあります。
タバコの不始末にも十分注意しましょう。
建設追い込み期も、ゼロ災で行こう
以上までが重点項目ですが、実際「いつもやっていること」に忠実に行うだけだったりもします。
なぜ災害や事故が起きるかというと、結局は「安全のためにやるべきこと」をやっていないのが問題だったりします。
これらのヒントを糧に、あなたの工事現場がより良いものになれば幸いです。
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