【業務改善】建設業界にトヨタ生産方式は適用可能か?【働き方改革】

業務改善に悩む人「建設業界の当社も業務改善を色々模索中です。改善で検索するとトヨタ生産方式によるカイゼンって良く出てくるんだけれど、建設業でも当てはめられるのかな?」
建設業界を維持していくためには、色々と深刻な課題があります。
- 若者が業界に来ない
- 業界全体が超高齢化している
- 高齢者と若者の間で技術継承ができていない
例えば、上記の通り。
建設業界にいる身としては、正直「建設業界の魅力・待遇をしっかりと考えて来なかったツケが回ってきたのでは…」と思うこともあります。
ですが、実際のところ人が集まらないと金も回らない(自分の給料も上がらない)ため、私自身のためにも真面目に業務改善に取り組む必要があるなと考えています。
近年では、世の中では一層のこと「改善」という言葉が目立つようになったと感じますが、改善のお手本と言えば超有名なのが「トヨタ生産方式」ではないでしょうか。
今、この方式が見直され、建設業にもこの方式が当てはまるのか?と考えるところも少なくないようです。論文や評論なども、ネットで発見することも珍しくありません。
実際のところ、本当に建設業に適しているかなど、ここで解説します。もちろん、建設業以外の方々にも参考になると考えますので、是非お読みくださいませ。
目次
- 結論:建設業でも、トヨタ生産方式は適用可能【7つのムダの撲滅】
- 改善に役立つツール紹介【最新のテクノロジーを味方にしよう】
結論:建設業でも、トヨタ生産方式は適用可能【7つのムダの撲滅】
結論から言うと、トヨタ生産方式は適用可能と考えます。
それについて、解説します。
ムダの排除
そもそも、トヨタ生産方式では、ムダの排除として、以下のムダを徹底的に排除しようとしています。
- 作り過ぎのムダ
- 手待ちのムダ
- 運搬のムダ
- 加工そのもののムダ
- 在庫のムダ
- 動作のムダ
- 不良をつくるムダ
これらのムダは、ほぼ全て建設業でも排除可能となりうる要素です。
概要を、下記に紹介します。
作り過ぎのムダ
作業班が同一現場で輻輳する場合、全員の進捗の足並みを揃える必要がある。
(一方が施工を進めすぎると、他班が作業できないなど:確認せず穴を掘ったため、他班が足場を組めなくなるなど)
手待ちのムダ
工程・作業把握ミスなどにより、過剰な作業員数の投入・拘束の発生。人件費と時間のムダ。
運搬のムダ
資機材搬入は、運搬車両をムダにしないためにも、車両に可能な限り積み込み短期間で一気にしてしまうべきである。
加工そのもののムダ
既製品を買って使用した方が安上がりな場合もある。
在庫のムダ
使用する材料を過剰に買いすぎることによる、資金及び倉庫スペースのムダ。
動作のムダ
人間は、危険を省みずショートカット(省略行為)をする。そのせいで、怪我をすることもある。(高所作業)
不良をつくるムダ
関係者全員の確認不良による、品質不良の発生=作り直しのムダ。
それでは、これらのムダをなくすにはどうしたら良いかを考えてみましょう。
すでに解説しているものもありますが、例として下記の通り提案します。
- 工程を確認し、必要員数を適切に確保する。
- 作業時間を確認し、ムダな待機時間を無くす。
- 資機材はあらかたまとめて搬入する。
- 類似製品にも注視し、施工性と費用が見合う方を選択する。
- 資材は使用する直前で購入するなども検討する(ジャストインタイム)
- 品質不良をなくすためのシステムを再考する。
上記の詳細については、建設業の中でも業種で異なると考えますし、各々の会社でやり方があると思います。
更なる深堀りは、各位にお任せしたいところです。
ジャストインタイムと自動化
トヨタ生産方式では、ジャストインタイムと自動化の2点は特に重要視されていますね。
ジャストインタイム
簡単に言うと、必要なものを、必要な時に、必要なだけ手配することです。
資材など、買って現場で保管することも多々ありますが、狭い現場などでは買ったはいいものの当分使われないのであれば保管スペースを圧迫するだけです。
また、電線など有価物であれば、盗難リスクも常にまとわり付きます。
「物を持っていないと心配だ」という心構えを、少しずつなくしていきましょう。「物を持たない」方が、気楽で安心ですよ。
自動化
読んで字のごとく、人が行う内容を機械にシフトしていくことです。
例えば以下のような技術は着手しているところはすでに実施しています。
- ドローンを用いた測量
- 3Dスキャナによる点群収集→現場の精密な3Dモデル化
- 建設機械の遠隔操作
自動化に関しては様々なメディアでも記事として紹介しています。一例をここで紹介します。
人手不足が深刻ないま、建設業界は“ロボット革命”を求めている|WIRED.jp
世界的に建設業界の人手不足が深刻化するなか、業界を挙げて自動化を進めることで生産性を高め、大幅な効率化を図るときが来ている。単純に考えて、建設工程の自動化こそが最高の建築技術で
建設機械の遠隔操作による自動化については、例えば下記の記事の通り。
[活用事例]建設機械の自動化による次世代の建設生産システム[A⁴CSEL®(クワッドアクセル)]|建災防
建設機械の自動化による次世代の建設生産システム[A4CSEL(クワッドアクセル)]
今はまだ完全な自動化は不可能と考えますが、やがて機械オペレーターなどがいなくても現場は稼働するという日が来るかもしれません。
まだまだ各作業の熟練者の力が必要ですが、熟練者と初心者の差を一気に埋め、建設業界に人を呼び込むにはこういったテクノロジーが不可欠な時代です。
それらを駆使することで、「新たな建設業の働き方・価値観」が生まれるかもしれません。
その「新たな建設業の働き方・価値観」が人を呼び、業界が潤うことだって夢じゃありません。
諦めず、ダメだと決め込まず、価値観に囚われず、改善していきましょう。
改善に役立つツール紹介【最新のテクノロジーを味方にしよう】
最後に、ここまでで解説した内容にて、これからの時代に重宝されたり必須となるであろうツールを紹介します。
最新のスマートフォン(iPhoneなど)
スマートフォンはできるだけ最新の方が良いです。
割と真面目に、デジカメの変わりにもなるしアプリを使用することで仕事効率化にもなりますし、まだガラケーを使っている方は早めにスマホに切り替えるべきだと考えます。
タブレット(iPadなど)
例えばiPadには、工事に関するほぼ全ての資料を取り込むことが可能です。メモ帳やその他何でも使えるため、1つあればまず困りません。
客先への写真提示や、急なプレゼンなどにも、非常に強い味方となります。
レーザー距離計
レーザーを当てるだけで距離が出るという優れもの。1台は持っておきたいですね。
ドローン
空撮のほか、3Dモデルの作成にも一役買える優れもの。こちらも1台あるとかなり仕事の幅が広がります。
Amazonなどでも買えますが、業者によっては偽物をつかまされる可能性もあるし、何よりサポートや修理のことを考えれば、ドローン専門店で購入することをお勧めします。
3Dスキャナ
屋内外問わず、さまざまなものをスキャンできます。1度スキャンすれば現場に赴かなくてもPCの中で精密なシミュレートが可能です。詳しくは、一例として下記を参照下さい。
BLK3D・BLK360・3D Distoはどう違う?特長を分かりやすく解説!
2019年に2月に発売開始した、三次元イメジャ Leica BLK3D、コンパクトな三次元レーザースキャナーのLeica
最先端のテクノロジーやツールは、最強の武器です
建設業界の改善は「今までのやり方で人を育てる」では絶対に成功しないと断言します。
各業界、様々な最先端のテクノロジーやツールを、当たり前のように導入しています。建設業界だけ取り残されていくのは、悲しいですよね。
人によっては新しい技術に拒絶反応を示すかもしれませんが、一度じっくりと教えてみると「意外に何とかなるな」と素直に受け入れてくれるケースも多々ありました。
業界を変える前に、自分が、仲間が、「時代の流れと向き合う」ことを考えてみる必要があるのではないでしょうか。
最先端のテクノロジーやツールは、それを吸収するだけで若年者であろうと会社のトップを蹴落とす人材になり得る可能性を秘めています。まさに、最強の武器です。
それこそが改善だと、私は考えます。
どの業界も、戦わずして明るい未来はないでしょう。
皆さんは、どう考えますか?
改善という大義名分は置いておいて、ご自身が損をしないよう生き方を見直してみてください。