【熱中症】水分だけを補給し続け脱水症状?正しい熱中症予防の解説
先日、熱中症についての記事を書きました。
【解説】熱中症の基礎知識と予防法・対処法【要点】
毎年夏になると、熱中症にて倒れたり亡くなる方のニュースが全国を駆け巡ります。実は自覚症状がないうちから、熱中症が始まっている可能性があります。その時から適正に対応できていれば、苦しまなくて済むケースもあったことと思います。ここでは熱中症の基礎知識として、最低限知っておきたいことと、予防法・対処法を解説しています。
こちらでもちょっと触れたのですが、熱中症予防・対策で、水分だけを補給しても回復しないどころか、危険です。今回はその内容の補足説明をしたいと思います。
本記事の内容
- 水分だけの補給で「脱水症状」になる
- 熱中症対策に必要な、水分+α
水分だけの補給で「脱水症状」になる
水分補給は熱中症予防の基本中の基本
熱中症の「予防」の観点からすると、小まめな水分補給はとても重要です。
身体の水分は、
- 食事や呼吸で体に摂り入れた栄養分・酸素を体中に運ぶ(血液)
- 老廃物を体の外に出す(尿)
- 発汗により体温を調整したり、代謝を正常に機能させる
などの生命維持に必要な要素となります。
そして、身体は生命維持のため、この水分量を一定に保とうとして「のどの渇き」など水分の補給指令を出しているのです。なので、熱中症の予防としては、水が飲みたいという欲求には素直に従うことが最重要です。
欲求を自覚したら、倒れる前に水を飲みましょう。
ここまでのまとめ
- 身体は水分でつくられている
- 身体の水分が、生命維持に必要
- 水分が不足すると、喉の渇きなどのサインが出る
- 水分補給を我慢しても、いいことありません
水分「だけ」補給し続けるとどうなるか
水分補給は基本と書きましたが、それだけでは体を壊します。それはなぜか、説明します。
汗の中には塩分をはじめ、ミネラルと呼ばれる身体をつくっている様々な成分が混ざっています。舐めるとしょっぱいですよね。そのしょっぱさがミネラルの正体です
例えば汗のミネラルの代表、「塩分」ですが、摂りすぎると体に悪いと良く聞くため、
塩分が体の外に出る=塩分減少=健康になる
と思うかもしれませんが、限度を超え減ると、逆効果です。
塩分の仕事の一部をここに書くと、
- 筋肉の収縮
- 神経の情報伝達
- 栄養素の吸収・輸送
- 血圧を調節
などが挙げられます。他のミネラルについても様々な役割があるのですが、すべてをここで書き並べるとものすごいことになるため、割愛します。気になる方は、関連サイトをご確認ください。
それぞれのミネラルの特徴と働きは? – よくある質問 – 財団法人日本食肉消費総合センター
話を戻しますが、汗にはミネラルが混ざっているため、水分補給だけでは、ミネラルが不足する一方であることは想像して頂けるかと思います。
水分だけを補給すると、水分とミネラルのバランスが極端に変化することを避けるため、脳は喉の渇きを出さないようになります。そのため、水分不足から復帰したと思われがちですが、汗や尿とともにミネラルはますます流出します。
最終的には、水分不足に気付かないまま、ミネラルも減るという脱水症状に陥ります。身体が正常に機能しなくなりますので要注意です。
大塚製薬より引用
※ミネラルは体内で生み出すことができず、食べ物など外部から摂取するしかありません。車が自らガソリンを産むことができないのと同様で、外部から補給するしかないのです。
ここまでのまとめ
- 汗には水分の他、ミネラルが含まれている
- 水分補給だけでは、ミネラルは失われ続ける
- ミネラルが無くなると、身体が正常に機能しなくなる
- ミネラルは体内で生み出すことができない
熱中症対策に必要な、水分+α
ここまでで、水分補給だけでは体がおかしくなるということがわかりました。水分の他に何を摂取すればよいのか?がわかれば、有効な熱中症対策がわかりますね。ここではその内容を確認します。
答えはずばり、スポーツドリンク
スポーツドリンク、有名なところで言うと「ポカリスエット」「アクエリアス」などが挙げられます。このスポーツドリンク、水分の他に汗とともに失われる成分がしっかり含まれており、運動中ではなくても汗を多くかく環境であればとても効果的なドリンクです。
ペットボトルで携行するのも良しですが、場所を取らない粉末タイプもおすすめです。
塩をなめて補給する
スポーツドリンクがベストですが、毎日買うとお高いですね。自分だけならまだしも、家族数名分だと出費もかさみます。別にスポーツドリンクじゃなくてもOKです。究極には、汗に含まれる主成分の塩分のもとである食塩を直接なめるでもいいのです。ですが、ちょっと食べにくいですね。
なので、有名な「塩飴」や「塩タブレット」などがありますので、利用しましょう。なお、必ず水を飲んでください。塩分だけ多くなっても体が不調になります。
経口補水液は違うの?
ここ最近よく聞くようになったOS-1などの「経口補水液」ですが、これは過度な発汗により熱中症の症状が進行してしまったときに補給するものです。通常であればスポーツドリンクで十分です。
そのほか、嘔吐や下痢、発熱などで急激に水分が失われたときにも有効ですので、応急処置用として家に常備しておくのもよいかもしれません。
熱中症は適切な水分・ミネラル補給で予防しよう
熱中症予防には小まめな水分補給とともに、ミネラルの補給も必須です。まだ大丈夫かな?という甘い考えはやめ、早め早めに補給しましょう。少しくらい過剰に摂取しても、汗や尿となりすぐに体外に排泄されるので、気にしなくてOKです。
それより、倒れてしまっては手遅れです。最悪、死に至ることもあるため、遠慮することなく堂々と補給しましょう。
たまに、学校のクラブや部活動で、運動中の水分補給を禁止しているようなニュースを見聞きします。驚愕どころか絶望しますね。もしこの記事を見ている方の中にそういう行為をしている・思想を持っている人がいるのならば、間接的に殺人行為に加担しているに等しいので、やめてください。
熱中症については、深く学習する機会が学校や職場ではないと思います。この記事を読んでくださった方に、参考となれば幸いです。今年の夏も、健康に過ごしましょう。