施工体制台帳で社会保険の加入状況を確認する理由【未加入はNG】

法令

施工体制台帳にて、社会保険加入状況をチェックされるようになったのは、2012年(平成24年)の改訂からです。

なぜ、社会保険加入状況を確認されるのか、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。法令がポイントとなっています。

ここでは、施工体制台帳で社会保険の加入状況をチェックされる理由を解説します。



そもそも、社会保険とは何のことを指すのか

わからない

「施工体制台帳と社会保険」について解説する前に、そもそも社会保険とは何か?について、解説します。

社会保険と呼ばれる、5つの内容

社会保険とは、大きく言うと下記の5点です。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

それぞれ、簡単に説明します。

社会保険①:健康保険

一番わかりやすいと思います。会社員の方であれば、健康保険証をお持ちかと思います。

病気や怪我の治療のための費用負担を、緩和するための保険となります。

保険料は、事業主と被保険者で折半となります。

社会保険②:厚生年金保険

国民年金とは別に積立てることで、将来の年金受給金額が増えます。

保険料は、事業主と被保険者で折半となります。

サラリーマンは加入しているはず。その他、短時間労働者等でも、加入可能な条件があります。以下に簡潔に記載します。

  • 1週間の所定労働時間、1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上
  • 週20時間以上勤務の労働者
  • 年収106万以上(賃金月額が月8.8万円以上)※
  • 1年以上の使用が見込まれる
  • 従業員501人以上の勤務先で働いている
  • 従業員500人以下でも労使の合意がなされている
  • 学生でないこと

厳密な条件についてもっと知りたい方は、厚生労働省の関連ページをご確認下さい。
» 厚生労働省の関連ページはこちら

社会保険③:介護保険

介護認定の対象者のみですが、市区町村の定める認定レベルに応じてさまざまな介護サービスを受けることができます。

保険料は、事業主と被保険者で折半となります。

社会保険④:雇用保険

失業してしまった場合に、失業給付金や、ハローワークでの求職支援などが受けれます。

保険料は、事業主・被保険者共に支払いますが、事業主の方が負担率が高いくなります。

社会保険⑤:労災保険

仕事中や通勤途中に起きた出来事に起因したケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に保険給付を行う制度です。

費用は、全額、事業所負担です。

事業主の保険料負担が結構大きい件について

各項目で太字にしましたが、各種保険料、事業主も結構負担が大きいことがわかりますね。

給与明細などで天引きされる保険料と同額かそれ以上を、会社が負担していることになります。

売上と利益のことしか考えていない事業主の中には、こういう費用を支払わないで済まそうとする人もいます。

その結果、社会保険に入らずどうにかやり抜こうとする会社が、結構あったりします。

皆さんのお勤めの会社は、大丈夫ですか?一応、確認しておいた方がいいですよ。なぜなら、条件もありますが、ほとんどは社会保険未加入=犯罪だからです。



施工体制台帳に社会保険の加入状況を記載しなくてはいけなくなった理由

パソコンでデータを打ち込む人

上記の通り、利益確保を追求しすぎ、従業員のための社会保険料を適正に払わない会社が建設業にも多々あります。

そのような会社が増えるとどうなるか、考えてみましょう。

労働者の正当な権利である社会保険が適用とならない

保険料が適切に支払われていないのであれば、当然、各種保険を行使する権利はありません。労働者に対して何の得もありません。

社会保険料=利益へ転換する会社が増える

本来、保険料として支払われるお金はどこへ消えるのか…?

法令違反会社を容認する社会が出来上がる

条件次第ですが、社会保険未加入は犯罪です。

このような会社を好き放題させたり、未加入とわかっていて新たに契約し、仕事を与えることは、法令違反を助長させることと同等です。

また、このような会社では、将来性のある若者が安心して働くことができません。

これらの背景から、施工体制台帳にて社会保険の加入状況を厳しく見ることとなりました。

国土交通省の見解では、施工体制台帳作成対象工事に関しては、社会保険未加入者とのの契約をしないようにすることとなっています。

その確認のため、施工体制台帳に、社会保険の加入状況を明記することとなっています。

施工体制台帳に社会保険の加入状況を記載しなくてはいけない法令根拠

ベンチに座って悩む男女

社会保険の加入状況のチェックが必要となる根拠ですが、建設業法施行規則に明記されています。ここでは、その内容を引用して紹介します。

第十四条の二 法第二十四条の七第一項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 作成建設業者(法第二十四条の七第一項の規定(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。次項第一号において「入札契約適正化法」という。)第十五条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)により施工体制台帳を作成する場合における当該建設業者をいう。以下同じ。)に関する次に掲げる事項
イ 許可を受けて営む建設業
ロ 健康保険等の加入状況
―建設業法施行規則第14条の2より引用

※建設業法施行規則全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。

ということで、法令にて施工体制台帳にしっかりと記載するよう、明文されています。

なので、施工体制台帳の様式については、しっかりと「社会保険加入状況に関する項目」が載っているものを使用しましょう。

最新版については、別記事で解説していますので、宜しければご参考にしてください。



施工体制台帳だけではなく、社会保険未加入によるデメリットは大きい

当たり前ですが、施工体制台帳のために社会保険に加入するわけではありません。

ともに働く仲間のために加入するのです。そこをお忘れなく。

建設業界で社会保険未加入のままだとどうなるか

施工体制台帳に関連する仕事は一切着手できないと考えてよいでしょう。

おそらく、加入推奨の通達が複数回来ていると思います。それでも加入しないと、役所等から立ち入り検査が入る可能性もあるでしょう。

なお、そのような会社が強制的に加入させられた場合、未納であった保険料をごっそり持っていかれますので、会社が傾く可能性もありますね。正当な料金の徴収のため、同情はできませんが…。

国土交通省が社会保険未加入を厳しく見ているため、いつまでも逃げることはできません。勝ち目のない戦いをしようとしている方がいらっしゃれば、あきらめて早めに関係各所に相談した方が良いです。

改めて、あなたの会社は社会保険料をきちんと納めていますか?

会社が云々というより、社会保険未払の会社で働いていても将来はブラックです。不安な方は、怖くてもきちんと明確にしておいた方が良いです。自分の未来は、自分でしか良い方へ動かせません。

もし搾取されていることがわかったら、労働基準監督署や、年金事務所等、すぐに相談しましょう。

自社でも他社でも、施工管理体制台帳に関わることもそうですが、すべての点において何の後ろめたさもなく書ける会社が発展することを願うばかりです。