あなたの施工体制台帳、その様式、最新ですか?
建設業における施工体制台帳の重要性
いきなりですが、わが国、日本の産業別就業者数というものに目を向けたことはございますか?
念のため、施工体制台帳とは
ネットで調べれば出てきますが、その内容の詳細は今回はここでは省略いたします。ここではひとつだけ。2018年ではこの就業者数の多い順番(男女計)に、卸売業・小売業(16%)、製造業(16%)、医療・福祉(13%)、建設業(8%)と並んでいるというデータがあります。
さて、あえて太字黄色にて目立たせました建設業ですが、上記の並びの通り全体で4番目に就業者の多い業種となり、基幹産業とも呼ばれております。性別毎に細分化すると、男性だけで11%程度、女性だけだと3%程度となり、男性就業者にとっては全体の上位3本の指に入る就業者数となります。
ここで今回の記事の施工体制台帳に話を戻しますが、簡単に説明すると、この建設業における重要な書類となります。建設業法に関わり無視することはできません。基本的に公共事業を行うものは必須の書類であり、民間工事では下請契約の請負代金の合計が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)で、要・不要が決まります。
民間工事は金額次第と書きましたが、私個人の考えでは金額に満たなくても、会社単位程度には自社体裁のみで構いませんので、一式そろえて常備しておいた方が良いと考えております。その理由としては、
- いつ必要となるかわからないため、すぐに作成できるよう、様式に慣れておく
- 作成することで自社情報を整理でき、改めて会社の情報を見直すことができる
- 作成することで、建設業法を意識することができる。
上記の通りです。
そして内容に変更があった場合は可能な限り即時対応するようになれば最高ですね。少なくとも年に1回は見直した方が良いです。
その施工体制台帳の内容や詳細については別途記事を作成し、ご紹介しております。追加の都度、随時こちらでもご紹介します。
建設業法で定められた施工体制台帳の作成条件【工事金額・公共工事】
施工体制台帳をご存知でしょうか?適正な施工を確保するため、必要に応じて工事現場で保管される、建設業に関わる書類のことです。建設業に関わることであるため、当然、建設業法にもその旨の記載があります。ご存知でしたか?ここでは建設業法と施工体制台帳の関係を解説します。
建設業法施行規則による、施工体制台帳の構成内容・必要書類について
施工体制台帳についていまいちわからないという方のために、建設業法に関連した「建設業法施行規則」に記載されている施工体制台帳の内容・必要書類について解説します。最新版ひな形(テンプレート)のある場所も紹介しております。規則に準じた内容を網羅し、適切な書類を準備しましょう。
施工体制台帳をなぜ作成するのか、なぜ必要なのか。その明確な理由
施工体制台帳と聞くと、気が重くなる方もいるかもしれません。ですが、工事現場全員の安心安全な作業を保証する大事な書類となるため、必ず遅延なく作成・提出しましょう。ここでは、なぜ施工体制台帳を作成するのか、なぜ施工体制台帳が必要とされるのか、わかりやすく、明確に解説します。
施工体制台帳で社会保険の加入状況を確認する理由【未加入はNG】
施工体制台帳で社会保険加入状況を確認する理由をご存知ですか?その理由を解説します。2012年(平成24年)に建設業法施行規則が改正され、施工体制台帳に社会保険の加入状況を明記することが必須となりました。2019年(令和元年)では社会保険未加入の会社はほぼいないと思いますが、ゼロではないかもしれません。
施工体制台帳の書類に不具合があると
私の経験談となりますが、書類に不備があると今のところ100%の確率で訂正再提出を要求されています。
会社のことを書くだけなので、クリーンな会社であれば正しい情報を正確に記入するだけで何ら問題はないはず。誤字脱字は百歩譲って仕方ないとして、それでも再提出要求が結構多い会社・ご担当者は作成慣れしていないというよりは内容の理解不足、意味が分かっていないことが多いと思います。しかし悲しいことに建設業では実務優先でこういう書類に詳しい人が少なかったりするんですよね…。
施工体制台帳の様式は最新か、都度確認しましょう
基本的に全建統一様式にて施工体制台帳を作成しよう
必要書類は実は元請で変わってくるのが実情です。前にゼネコンと組んだ時は、ゼネコン様式にて揃えるよう伝えられました。
ですが基本的に、どんな会社でも通用する「全建統一様式」の内容にて作成ができれば問題ありません。この様式についても別記事で紹介する予定です。
ただ1点困ったことに、この全建統一様式、新しいものから古いものまで、そして程度はあれど独自様式にカスタマイズされたものなど、ありとあらゆるものがこのネットの海には漂っています。2019年5月現在、公式に発表されているものは「改訂4補訂版」となっておりますが、知識のないものが確認してもわからないでしょう。そして改訂履歴などは表立ってなかなか見えないのが実情かと思います。私も独学で調べていてやっとわかってきましたが、会社にいる人はほとんど気にもかけていませんね。改訂3で社会保険加入の有無が問題になった時にいち早く会社上司に物申したのも私でした。
平成31年4月1日に、施工体制台帳の様式が変更されました
この記事を書いているのが2019年5月10日です。たまたま国土交通省のHPをみていると、施工体制台帳等活用マニュアルなるページが目に入りました。そこにちっちゃな文字とリンクで、
施工体制台帳の作成等について(各地方整備局等建設業担当部長あて)(平成31年3月29日)
というPDFがありみてみると、
今般、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成30年法律第102号)により、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。
このため、施工体制台帳及び再下請通知の記載事項に、「特定技能1号」の在留資
格に基づく外国人の従事状況を追加することとしました。
この改正は、平成31年4月1日より施行されます。
つきましては、「施工体制台帳の作成等について」(平成7年6月20日付け建設
省経建発第147号)を別紙のとおり改正し、平成31年4月1日より適用すること
としましたので、貴職におかれましては、十分留意の上、事務処理等に当たって遺漏
のないよう措置願います。国土交通省:施工体制台帳の作成等について(各地方整備局等建設業担当部長あて)(平成31年3月29日)
より引用
との記載を発見。ということは、全建統一様式発行元も即座対応して新しくしているのかな?
と思いきや、改訂4補訂版よりさらにアップデートされているような文言はありませんでした。
そしてたまらず私はツイートしてしまいました。
さっき法令だ何だと言っていたのは、施行体制台帳の改訂について、国土交通省HPで見つけたから。正直、全然気づかなかった。こういう情報って大事なのにあまり広く知れ渡らない気がする。ネットにはまだまだ旧様式か漂っているし、知識ない人には見分けられないだろうな。 pic.twitter.com/HKAeHiHYN2
— shoji (@jijitan85) May 9, 2019
こういう情報って情報の拡散が著しく遅く、なかなか広まらない印象です。恐らく、私以外にも気づいていない建設業の就業者さまはたくさんいらっしゃると考えています。
私の意見ですが、こういうものこそ大々的に周知してもらわないと困ると考えています。
書類の作成も、働き方改革が必要
様式の差し替えも手間である
先ほど名を挙げた「全建統一様式」への物申しですが、様式を取りまとめている以上、国土交通省の決定には迅速に対応して頂きたいと考えます。国土交通省は作成例としてサイトにひな形をリンクしておりますが、国土交通省だったり、そのくせ全建統一様式があったり、発行元を統一できないものかと考えます。政治的な話で無理なのかもしれませんが、そのしわ寄せがすべて建設業界にやってきます。上がブレなければ、下もブレないのです。こういうことに関してはトップダウンで行ってもらっても何ら問題はないと思います。
細かい変更でも労力は必要となります。変更に気づかず提出し、ダメ出しを食らって再提出なんて時間が勿体なさすぎます。そして働き方改革を促している割には、効率化とは逆行した世界になっています。本当に建設業界を大事にしたいなら、こういう小さな配慮を国も行ってほしいものです。働き手はどんどん違う業種へ流れていますよ。
施工体制台帳の正しい作成方法のオープン化はいつになるか
話が少しそれますが、実は正しい施工体制台帳の作成方法ってネットを探しても情報が少なかったりします。私も昔は良く困りました。今もたまに困りますが…。
こういう、手間がかかり、わかりにくいものについては国などで統一された作成例を掲げてもらいたいものです。例が全くないわけではないのですが、ネットの情報については「信頼された発行元」の強さには叶いません。私も様々な例を見ましたが「これ本当に合っているのか?」という疑問を持っていました。こういうケースが減少し、初心者でもベテランでも、誰でも書類が作成できるような専用サイト/ページの登場など期待したいところです。
なお、需要があるかはわかりませんが、おそらく国はやってくれないだろうから、それなら私がやろうと企んでいます。私が「信頼された発行元」となれるよう、ブログは頑張りたいところです。
おわりに
今後も様々な理由で、施工体制台帳はじめ様々な様式というものが変化していくことでしょう。中には今回の私のように、いつ変更となったのか全然気づかないというようなことも起こりえるでしょう。毎日少しずつで良いと思うので、自分の業種の情報にアンテナを向け、情報が入ってくるようにした方が良いと考えます。
私もまだまだ勉強不足でした。これからも様々な面で注意のうえ、正しいものをつくり続けて行きたいです。