【理由】お酒を飲んでも水分補給にはなりません!正しい熱中症の知識
この記事を書いている2019年7月、夏本番とはまだほど遠い気温ですが、時機に熱中症の季節がやってきます。これから数か月、嫌というほど、暑さにやられることでしょう。
そして、仕事の終わりなど、くたくたに疲れた汗まみれになった火照った体には、キンキンに冷えた飲み物が一層美味しく感じられる季節でもありますね。
そして大半の方は、やはりお酒を飲む方なのではないでしょうか。1日の終わりにお酒…ちょっと贅沢でリラックスできる時間ですよね。ですが、熱中症の観点から見ますと、場合によっては実はお酒はあまり適さなかったりします。
飲んではいけないという訳ではありませんが、水分補給のかわりにお酒を飲むのはNGです。ご存知でしたか?
その他、お酒と同じ作用で熱中症対策としての水分補給に適さない飲み物がありますので、ここではその内容について解説していきます。
本記事でわかること
- 【おさらい】熱中症対策に水分・塩分補給が必要な理由
- お酒が人体に及ぼす影響
- お酒とトイレ
- お酒の他に、同じ作用を持つ飲み物
皆様の熱中症対策知識として、覚えて頂ければと思います。
熱中症対策として、水分代わりにお酒を飲むとどうなるか
【おさらい】熱中症対策に水分・塩分補給が必要な理由
改めて確認ですが、熱中症対策として重要なことは水分・塩分補給を欠かさず行うことです。水分だけを摂っても、塩分だけを摂っても身体には良くないです。この辺りは、以前記事にしましたので、ご覧になっていただけましたら幸いです。
【危険】熱中症対策として水分だけでは不十分な理由【脱水】
熱中症対策として、基本的には小まめな水分補給を行うことが重要です。しかし、汗をかくと、身体から失われるのは水分だけではありません。身体の機能を正常に維持するため、水分補給の他に塩分補給も重要となします。ここでは水分だけを補給するとどうなるのかも併せて解説します。ぜひ覚えて頂き、皆様の生活にお役立てください。
簡潔に、結論だけ言うと、水分だけだと体内のミネラルのバランスが崩れ体調が悪くなり、それでもミネラルの主要である塩分を取らないと脱水症状となる可能性が高くなる。といったところでしょうか。皆さんはもうご存知だと思いますが、水分も塩分もしっかり摂って、熱中症を予防しましょう
お酒が人体に及ぼす影響
さて、ここからが今回の本題です。皆さんはお酒を飲むとどのようになりますか?変わらない人、楽しくなる人、泣いてしまう人、様々だと思います。
これはお酒のアルコール成分が、人の理性をコントロールする大脳新皮質の働きを鈍化させ、感情や衝動などの本能的な部分を司る大脳の古い皮質(旧皮質や辺縁系)の働きが活発になるためと言われています。その結果、精神が高揚したり、元気が出て活発となったりします。
※お酒を飲むと性格が変わるのではなく、本能的な感情を露わとする自分が現れやすくなります。
この効果には良い面も悪い面もあります。自分でコントロールできる範囲でお酒をたしなめるのであれば良いですが、度を越して自力で制御不能になってしまうと、周りの人にも迷惑をかけたりしますね。
お酒とトイレ
お酒の効果は、一般的にはこのように知られています。ですが、他の効能として、トイレが近くなりやすいことはご存知でしたか?体感的に気付いている方もたくさんいらっしゃると思います。
その理由としては、アルコールには利尿作用があるからです。利尿作用とは、その名の通り、摂取することでトイレに行きたくなってしまう作用です。これはアルコールそのものがその作用(抗利尿ホルモン:無意識にトイレを我慢する)を持っているため、どんなお酒でも逃れることはできません。
また、お酒の種類によっても利尿作用の度合いが異なります。例えば、利尿作用に拍車をかけるカリウムが多く含まれているビールや赤ワイン。ビールはホップも入っているとさらにトイレが近くなります。
トイレに行きたいということは、摂り入れた水分を体の外に出しているということなので、熱中症対策でお願いしていた「水分補給」とは対極にある行為なのです。
身体の中で使われるはずであった水分が、使われる前に尿となって外に出て行ったしまうため、「身体火照ってるし、なんだか頭も痛いし、熱中症っぽいな~」という自覚があるならば、飲まない方が良いでしょう。体調を悪化させてしまう恐れがありますので。なんと、摂取した量以上に水分を排出しているとのこと。これではまた脱水症状になってしまいます。
お酒の他に、同じ作用を持つ飲み物
実はこの利尿作用、アルコールだけではなく別の成分にも作用されています。その成分とは、カフェインです。
良く飲むと思われるれる緑茶やコーラ、コーヒーなどにはカフェインが含まれています。飲みすぎると、トイレに行きたくなりますので注意です。補給した分が体の中で使われる前に、外に出てしまいます。
水分・塩分補給と、ほどほどのお酒で熱中症を防止しよう
これまでの解説の通り、お酒は楽しく飲むものですが、体の不調を実感しているときは飲まない方が良いです。また、冗談半分で「お酒飲んで水分補給する」というのは構いませんが、実際にやっても効果がないどころか、逆効果なのでお気を付けください。
そして、もしそういうことを本気にしている人が身近にいたら、やめるように伝えてあげるのが優しさではないでしょうか。家族や同僚、仲間の健康にも是非気を使ってあげてくださいね。
お酒をまるっきり飲むなとは言いませんが、お酒を飲む前にはあらかじめ普通の水で水分補給しておくなど、きちんと予防策を行ったうえで楽しみましょう。
健康かつ安全安心な環境で、お酒も仕事もそしてプライベートも、楽しい季節にしましょう!